みなさんは北大路通りで本場メキシコの味を楽しめる場所があるのはご存じでしょうか。今回私たちが紹介する「El calavera(エルカラベラ)」は、定番のタコスやケサディーヤなどが食べられる移動販売型のメキシコ料理店です。
本場メキシコの食と文化の伝道師を目指す、店主の西田将伸(にしだまさのぶ)さんにお話を伺いました。
・メニューの紹介
まずはメニューをご紹介します。
注文の仕方はまず店頭にあるメニュー表右上にある「本日の具材」から食べたい具材を一つ選択します。この日の具材は「合挽肉と豆の煮込み」「スパイシーチキン」「生ハムとアボカド」「フィッシュフライ~燻たまタルタル」「きのことナッツのアヒージョ」でした。
続いてタコスやナチョス、タコライスといった食べ方を指定します。
サイズはレギュラーサイズ(R)とスモールサイズ(S)から選ぶことができます。
どれを選べばいいか分からない場合でも西田さんが気さくに教えてくださるので安心です。
また、トッピングのサルサソースはメキシコ産のトウガラシなどをふんだんに使った西田さんの手作りで、この店の自慢の一つでもあります。
今回、私たちはこちらの2品をいただきました。
「スパイシーチキンのタコス」(R600円、S400円)
まずは定番メニューのタコス。
使用されているトルティーヤ(生地)はメキシコの製粉工場から直接仕入れたトウモロコシ粒粉100%モノです。具材のチキンはスパイスが効いており、肉の風味と美味しさをより一層引き立たせる味付けとなっています。
「一口目はお近づきのキスで手放さず、最後はお別れのキスのようにしめる(食べきる)という食べ方の極意をレクチャーいただきました。
「フィッシュフライ~燻たまタルタル~のトースターダス」(R600円、S400円)
トースターダスとは、トルティーヤ生地を油でこんがりと揚げてパリパリにしたもの。余った生地を美味しくいただくために考案されたもので、日本でいうところの餅やバケットを焼いて香ばしくする感覚だそう。
揚げられた生地はパリッバリッと、フィッシュフライはサクッとしており美味しい音が辺りに響きます。とても食べ応えがあり、タルタルソースとの組み合わせも抜群な一品です。サルサは緑トマトベースの“ベルデ”をかけていただきましたが、酸味がありさっぱりとしていたので揚げ物でもまた違った美味しさを楽しめます。
・メキシコ料理との出会いは偶然!?
「元々何か料理が作れるようになりたかった」という西田さん。
そのような中でたまたま見つけたのがメキシコ料理店のアルバイト募集でした。
ここで10年ほど働くうちに「自分の料理がしたい」と考えるようになり、それは新たにエルカラベラを開こうと思ったきっかけでした。
ちなみに現在では「メキシコの食と文化の伝道師」を自認する西田さんですが、最初はメキシコという国、料理、文化など何も分からない状態だったそう。
だから... 『まず知ることから始まった』
「メキシコ料理って?メキシコってどんな国?」そういった疑問を調べていくうちに、西田さんはだんだんとメキシコ料理の魅力に惹き込まれていきました。そしてついには、「現地でしか学べないものもある」とメキシコに渡たったそうです。
「本場の屋台スタイルで、現地で味わったタコスのおいしさを伝えたい」、そのような思いから現在の移動販売という形でエルカラベラをオープンさせました。
・現実はあまくなかった…、そして気づいたやりがいと嬉しさ
移動販売としてのエルカラベラを始めた当時、飲食店で10年も働いてきた経験から「自分ならできる、自分で全部やれる」という自信に満ちあふれていたという西田さん。
しかし、実際に始めてみると「自分一人でできることはたかが知れている」と身に沁みて感じたそうです。
同業者の人に助けてもらいながら店を運営していくなかで、「自分一人で店を営むより仲間や共通意識、目標を持っている人たちとともにこなしていく方がより大きなもの、魅力的なものを作っていけると気づいた」と教えてくださいました。
・「焼きたて」「ベストな状態」を味わってほしいが故の待ち時間
エルカラベラでは生地であるトルティーヤを手づくりで仕込んでいます。また注文が入ってから専用のプレス機で伸ばし、焼くというスタイルをとっているためどうしても回転率は悪く、提供するのに時間がかかってしまいます。
しかし、「焼きたてのトルティーヤを食べてほしい」「僕がベストだと思う状態を味わってほしい」という西田さんの熱い想いからこのスタイルを続けている。。
「日本では冷凍されたものが売られてるけど、それにはない風味を理解してほしい」と話す西田さん。
私も実際にタコスをいただきましたが、生地を伸ばす工程から盛り付けまでの作業が一種のエンターテインメントとして成立しており、生地が焼かれる際にはトウモロコシのほのかに甘い香りが漂い、まるで現地の屋台にいるかのようでした。
・最も大事にしているのは「嘘をつかない」こと
西田さんはタコスを作る際にある程度自己流に創作し、日本人好みに寄せていくそうだがタコスという枠を超えないように気を付けている。お客さんの中にはメキシコ料理を食べるのが初めての方も多い。そこでタコスとは全く違った別のものを出してしまうのは避けなければならない。「例えば外国のメニューにおにぎりと書いてあり、頼んでみたらパンに具材が挟んであるものが出てきたとする。初めておにぎりを食べる人はそれがおにぎりだと勘違いしてしまうし、あまり美味しくないなと思うかもしれない。僕自身、タコスがとても好きでそのように思われることがあっては悲しいし、嫌なんです」と西田さんは言う。お客さんの目の前で実際に生地を焼いて盛り付けし提供しているそんな理由からだそうだ。
・西田さんがこれからのメキシコ料理に抱く想い&取り組み
「メキシコ料理がもっと普段の食生活に浸透し、パンやパスタのように家庭料理として当たり前のようになったらとても素敵なこと」「トルティーヤやサルサがもっと馴染みのあるものになれば面白いのにな」という西田さん。
私から「トルティーヤを焼いて前日の余りものを挟むといった新たな食べ方が出てきてもありですね」と返すと色々と話も弾みました。作るのも簡単で子どもにも食材を包んだりする楽しさで人気になるのではないでしょうか。
西田さんは少しでもメキシコ料理が広まっていくことを願い、自家製サルサやトルティーヤのパーツ売りを独自で販売されている。値段もレギュラーサイズが一枚80円とお手頃設定でありがたい。京都在住でメキシコ出身の方々がよく買いに来られるそうで、「晩御飯にトルティーヤ10枚!」みたいな感覚なんだそう。今よりももっと社会に浸透し注目されればメキシコ料理が家庭料理として当たり前に感じる日も近いのかもしれません。
・取材を終えて
私も結構北大路通りを散策するのですが取材させていただくまで全く店のことを知らず、今まで通り過ぎていた自分にとても後悔しています。取材を快く引き受けていただいた西田さん、この度は大変ありがとうございました。私事ですが今後通いたくなる店がまた一つ増えました。
皆さんも近くを訪れる機会がございましたら是非寄ってみてください。
メキシコの屋台スタイルで本場の雰囲気とともに料理を楽しく味わえること間違いなしです。
取材:(大谷大学 2回生 谷口滉樹)〈取材日 2020年11月26日〉
〘El Calavera〙
【住所】:〒603-8165 京都府京都市北区柴野西御所田町48-1
【営業時間】: 12:00~14:00/17:00~21:00
【定休日】:月曜日(Mon.)/火曜日(Tue.)
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