今回取材したのは、大徳寺総門のすぐ近くにある「アトリエみつしま」というアートギャラリースペースです。オーナーの光島貴之さんにお話を伺いました。
特徴的な内装
「アトリエみつしま」は、2020年1月に開業したアートギャラリー兼制作アトリエです。「アトリエみつしま」のあるこの建物は、築90年で、元々西陣織の織屋さんとして使われていた建物です。織機が置かれていた一階は特に天井が高かったため、そこをメインのギャラリーとして、二階は42畳の部屋や小部屋など複雑な作りになっており、その複雑さを生かした展示やシンポジウムの会場として使用しているそうです。
全盲のオーナーが作る渾身の作品
オーナーを務める光島貴之さんは本業であった鍼灸師の傍ら、1992年ごろからアート活動も並行しておられています。
光島さんは全盲であるため、視覚以外の感覚を研ぎ澄ませ、主に近年では、見えない人はもちろん、見える人に「見るだけではなくさわって感じる鑑賞を楽しんでほしい」という思いから、作品の制作に力を入れておられます。
光島さんがこれまでの仕事の中で印象に残っておられるのは、長野県立美術館より依頼されて制作した「まち歩き―善光寺参道から信濃美術館へ」という作品だそうです。この作品は、横幅10メートルもの大きな作品です。実際に光島さんが美術館や善光寺の周辺を歩き、蕎麦打ちなどの体験をしながら、街の雰囲気やそこで感じた触感を、木の板に釘を何本も打ちつけて表現したものです。本来、釘を触ると痛いというイメージがありますが、その痛みも心地よく感じられる作品だそうです。
(photo:Shinichi Kanai)
気軽に誰もが足を運べるイベント
「アトリエみつしま」では、見えない人・見えにくい人・見える人みんなが楽しめる様々なイベントが開かれています。
例えば、10月には、まなざしと身体をテーマに、全盲の作家と晴眼者の作家がそれぞれの立場から作品を展開する「まなざす身体」という企画展が実施されました。また、12月から2023年2月にかけては、「さわって美しいものを作ろう」をテーマに、見えない人・見えにくい人が、見える人のサポートを受けて自分の作りたいものを制作する、「視覚に障害のある人・ミーツ・マテリアル」というワークショップなども行われます。
取材を通して
今回の取材を通して、アート作品は目で見て楽しむものだけではなく、触って感じられる魅力もたくさんあることを知ることができました。また、アート作品を見て、子供のころの美術の時間で感じていた作品を作る、見る楽しさを思い出さされたので、訪れた方が有意義な時間になること間違いなしです!
アトリエみつしまでは、アートの展示会のほかにもメインギャラリーで、地元の方がお芝居を披露されていることもあるのでぜひ足を運んでみてください!
「アトリエみつしま」
住所 603-8215 京都市北区紫野下門前町44
電話番号 075-406-7093
開館時間 イベント等により異なります。
ホームページ https://mtsm.jimdofree.com/