家庭で割烹の味がいただける持ち帰り専門店

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割烹の味に感動し、京都へ移住

北大路駅から鴨川に向かう途中にある細い路地を、少し上がったところに「割烹スタイルのデリカテッセン」を称するユニークな持ち帰り専門の和食店がある。その名も「Kappo-DELI」だ。

店主の加藤岳さんは埼玉県出身で、一〇代、二〇代の頃はバンドを組んで音楽活動に熱中していたという経歴の持ち主。そんな加藤さんが京都で暮らすことになったのは、二五歳の頃に旅行で京都を訪れたのがきっかけだそうだ。ガイドブック代わりの池波正太郎さんのエッセイを片手にたまたま入った料亭で、料理の美味しさに感動。ちょうど求人募集しているという案内を見て、ここで働かせてもらおうと決めた。首尾よく見習いとして雇ってもらえることになり、京都へ移住した。お店の多くがチェーン店だった埼玉と違い、個性ある様々なお店が並ぶ街の雰囲気にも魅力を感じた。その後、祗園、河原町界隈の複数の割烹で腕を磨き、昨年9月に北大路に自分のお店をオープンさせた。このエリアで開業は、食べることにこだわりがあり、生活にゆとりがある層も多いと考えたからだ。また北大路商店街にある「時待ち本舗」には、割烹で働いていた頃から通っており、「ここで旬の京野菜を仕入れて使いたいな」という考えもあった。

旬の素材を様々な調理方法で

メニューは、和食店でのコースをベースに毎日十品程度のラインナップ。とてもあまみを感じると評判のいかの「お造り」や、のどぐろや太刀魚など季節の魚の「焼き物」炭火で焼くと外はパリッと中はふっくらと仕上がり特に好評なのが近江の地鶏の炭火焼、春の山菜や鷹ヶ峰の野菜を使った「あえもの」新わかめやふきなど素材の風味とお出汁を味わえる「煮炊きもの」、と見た目も美しく、美味しいメニューが並ぶ。季節や天候に合わせて毎日少しづつ替わるそうだ。また、お昼どきには、土鍋で炊いたご飯を使った丼やお弁当を、日替わりメニューで提供している。価格も一〇〇〇円程度とお手頃で、初めてのお客さんにも好評だ。

ちゃんとおいしい。

お店で大切にしているのは「ちゃんとおいしい。」というコンセプト。どの料理も保存料や化学調味料などは無添加で砂糖も極力使わない。
「生産者さん、仲買さんが丁寧に育てた、選んだ上質の素材を、その素材の持ち味を生かし、お客様にお喜び頂けるようお届けする。それが自らの役割だと考えています」
持ち帰ってから、美味しくいただくための調理方法や盛り付けの仕方についても、購入時に丁寧に教えてもらえる。また、薬味や付け合せなども料理に沿えて提供してくれるので、本格的な料理を自宅で手軽にいただける。
また、割烹勤務の経験を生かして、様々な要望にも応えてくれる。こんなものが食べたいというリクエストはもちろん、料理の量や来店時間に合わせた仕上がりなどお客さんの都合や好みに合わせた対応もしてくれる。
お店では料理の他に、食卓を彩る調味料や器などの販売も行っている。カンボジア産の無農薬の胡椒「アンコールペッパー」や京都・桂の隆兵そば特製の「そば茶」や「そば味噌」、熊本・宇城市萩見窯の器、京都・佳耀工房の液だれしない「1滴醤油さし」など加藤さんセレクトの逸品が並ぶ。
「大量にものがあふれる世の中ですが、質を大事に暮らす人が増えてほしいと思っています。自分の仕事が、お家で上質な食事や、くつろぎの時間を過ごすためにお役に立てれば幸せです」
旅先での偶然の出会いから、持ち帰り専門の割烹料理店を営むこととなった加藤さん。かつて外からの目で魅力を感じた京都で、伝統の食の文化を伝える立場になっている。人生って面白い。

 

Kappo-DELI
京都市北区小山下内河原町48-13
営業時間12:00〜20:00
定休日 月曜日
TEL 075-495-5711
E-mail mail@kappo-deli.com
URL https://www.kappo-deli.com

kappo-DELI
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