身近に異国の文化を感じることができる「高麗美術館」

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今回は高麗美術館を取材させていただき、代表理事の鄭喜斗さんにお話を伺いました。

高麗美術館を開館されている理由

高麗美術館は1988年10月25日に開館されました。この時代はソウルオリンピックが開催され、それまであまり近い国の雰囲気ではなかった日本と韓国の雰囲気が変わった時代であったそうです。

京都は現在、国際観光都市などと言われますが、実際には朝鮮半島から渡って来た渡来人が早くに定住した場所でもあるそうです。そのため現在のイメージよりも昔から外国人が住んでいた国際都市であり、そのような意味で国際都市の中に在日朝鮮人が今でもいることを知ってもらいたいという思いがあるそうです。そのため、自分たちの身近なところに実は日本人とは違うルーツ、異国の文化や風習を持っている人がいることを改めて感じながら、京都に生まれてよかったとか京都はイメージよりも更に国際都市なのだということを感じてもらいたいという思いを持たれています。また自分たちの住環境のそばに異国の文化の香りがするものがすぐそばにあるということも京都の良さだとおっしゃっていました。

そして古代から教科書には書かれていないが、人の交流は欠かしたことがないため文物を通して教科書だけでは教えられない物の流れや人の交流を感じてもらえたらということも言われていました。

 

展示作品の背景

高麗美術館の展覧会は年に2回入れ替えをされています。

その中で今回は12月11日(日)まで行われている「朝鮮王朝の白磁と水墨画」展を鑑賞させていただきました。

所蔵作品は1700点あるそうですが今回はその中の約120点を見ることができます。

今回展示されている作品についていくつか解説していただいたので、ご紹介します。

まず、『白磁壺』は真横から見ると縦横比が1対1の真円になっています。上下別にろくろで作り合わせたものなので、重さで丸が崩れないように、下が重たくなるよう2㎝ぐらいで上の部分は1㎝以下になっているそうです。これは韓国では月や太陽信仰がすごく強いので、満月のような丸になる壺をいかにして作るかを真剣に考え、技術を駆使したものであるそうです。

ほかにも白磁ではお菓子の押し型や、儒学者たちは使っていた硯や筆立て、水滴なども見ることができます。今でも使えそうなかわいいものもたくさんありました。

 

また水墨画は日本で朝鮮の人が書いて残した絵が展示されています。江戸時代に12回日本にやってきた朝鮮通信使400~500人の間に絵描きが1人か2人おり、6~8か月滞在する中で、住職などに記念に書いてほしいといわれ、描いたものだそうです。

またその水墨画に日本人が漢詩を書いたものもあり、日本人と朝鮮人の江戸時代の交流を物語っています。

これらは教科書に載っていることの生き証人達が書いた文化財であるため、江戸時代の交流や生きた歴史などが浮かんでくるので面白いのではないかとおしゃいました。

 

また2階では本物の部屋のように家具をオープン展示されています。家具などと一緒に朝鮮時代の味わいを近くで匂いなども感じてほしいとのことです。

 

そして高麗美術館は来年開館35周年を迎えられるということで、今までにない新しい展示の仕方を考え中だそうです。また京都に文化庁が来ることになっているので文化行事の中でも活動したいとおっしゃられていました。

 

取材を終えて

今回、実際に作品を見ることで、教科書に載っていた歴史についてイメージがしやすくなりました。また教科書に載っていないことについても、作品からどの様な交流がなされていたのかが分かり、すごく面白かったです。

2階のオープン展示では、こんなに近くで本物の文化財を見ることができることに驚きました。本物の匂いまで感じることができ、オープン展示されているというのが魅力的だと感じました。

また今回紹介しきれていない他の作品についても、興味をそそられるものがたくさんあり、身近に異国の文化を感じることができる美術館でした。

展覧会のテーマによって展示される作品が変わるそうなので、飽きることなく何度も楽しめる場所でもあると思います。ぜひ訪れてみてください!

(大谷大学3回生 川村颯希)

 

高麗美術館

開館時間:10時~17時(入館受付は16時30分まで)

休館日:毎週水曜日(休祝日と重なる場合は開館し、翌日休館),年末年始,展示替期間

住所:京都市北区紫竹上岸町15

電話番号:075-491-1192

ホームページ:高麗美術館 (koryomuseum.or.jp)

 

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